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やわらかな足音は 一生の宝

●足音だけであなたが分かる

♪足音だけで あなたが分か~る

目を閉じてても
あなたが分か~る♪

 ずいぶん古い歌ですが` まさにその通りです。履物を換えると、 その音は当然変わりますが、 ちょっと自分の足音に耳を傾けることを心掛けていくと、 その日の心や体の在り方が感じられるようになっていきます。

●足音たてたら罰金

私はバレエを長い間教えてきましたが、 レッスン場で小さい子ども逹がドタドタと足音をたてると、 すぐに「ハイ!罰金!」とニコニニしながら言うこと にしています。 すると子ども達は、「あっ そうだった」と、 直ちに足音をたてずに動き出します。

《何故、 そうするのか?》それはただ踊ることだけでなく、《体を大切にする動きを身につけていくこと》がレッスンの目的だからです。

●休の在り方が足音に表れる

外出の時には、 たいていハイヒールか履かない私ですが、 疲れている時は自分の足音は雑音に近いものになっていて、 その音が耳に響くことによって余計に疲れていることに気づくことがあります。そんな時は「ゴメン、 ゴメンネ」と足に言いながら、 歩き方を ゆっくり、 ふんわりとするよう、 心掛けています 。

街角でも「何!このダラシない音は?」と振り返ると、 目の覚めるようなステキなファッションのスタイルの良い若いお嬢さん。 でも足音から判断すると、 「あー、 この人は腰がズレているな。 心も少し精神不安定気味。 結婚しても、 きっと家は散らかし放題だろうな?」と、 思ってしまいます。

●忍者学校入学許可。

子育て ・マタニティー講座の中でも、 この足音のプログラムは、《自分の生命を大切にする感性をはぐくむ》方法のひとつとして、 必ず伝えるようにしています。 例えばこのようにして進めていきます。(S;城石.C;子ども達)

S: みんな、 忍者知ってる?

C:知ってるよ

S:忍者ってね、 目に見えない位 超スピードで走るし、 足音も 間こえないんだよ。
できるかな?

C:できるよ!

S:それに人や壁とも絶対にぶつからないんだよ

C: うん

S:じゃあ、 やってみる? いい?いくよ~ ヨーイ、 スタート!

C:(子ども達、 つま先立ちで体を少し内へ構えるようにして足早に走り回る)

S:ウワァー ! すご~い!

じやあ、 今度はすぐにストップ
できる? 動いちゃダメだよ。 イクヨー ストップ!

C:(子ども達は、 走るのをすぐ やめて、 その場にストップ する )

S:じやあ次は、 溶けて消えてみよう。 イクヨー ホーラトロトロトロ~ッ

C:(子ども達は、 頭の方から ソフトクリームが溶けるように、 音も立てず、
床に倒れていく )

S:すご~い! !すごいよ、 みんなやれたね。 ヨシ 、忍者学校入学許可だね 。

先月、 五月の沖縄での子育て ・ マタニティー講座でも、 4~5人の男の子達が 大人のセミナーのやっている会場の間を《忍者走り》で走り回ったり到れ込んだりと、 全身汗でびっしょりになりながら、 大喜びで1時間近くを仲良く 遊び回っていました。けれど、さすがお見事。 忍者達、全く音もせず、 何の邪魔にもなりませんでした。

●柔らかい足は 一生の友として

この忍者のように走るには、 全身のしなやかな筋肉が必要です。 また、足の母指球を中心として、 五本の足指の関節の可動性が大でなければいけません。 日頃、よく動いている子供たちは簡単にホイツと忍者になれますが、 クツを長く履き続けてきた大人の足指関節は、 可動性が狭くなり、 筋肉も固くなっています 。 昔は畳で座ったり立ったりの所作でしたが、 椅子の生活が増え、 足指の動きは悪くなっているのです,、クツは進化しましたが、 足は退化していると言ってもいいほどです。

特に、 大人もそうですが、 子どもに出来る だけ五本の足の指がシッカリ動く生活を確保 してあげることは、 脳の発達にも、とても大切なことなのです。

是近、 幼い子の足を触ると「エーッ、 信じられない、こんなに硬い 足になっている」と 驚くことが多くなりました。 直接な理由でないにしても畳がある家が少なくなり、 絨毯の上に立ったり歩いたりしていることも関係しているような気もするのですが ・・・。 ご`存知のように、 足の筋肉が固くなると、心臓の血流量が減少します。 脳への血流も滞ることにもつながっていきます。 ネコのようにはいかずとも、日頃の足音を柔らかに、やわらかい足音へとちょっと心掛けるだけでも足の負担が変 わっていきます。 ボディートークの足ほぐしもマメにしていただき、 どうぞご 自分の足を大切にして下さい。 自分の人生の最後の日まで、 自分の足で立ち、 自分の足で歩けるなんて、 なんと幸せな事でしょう。 未来をになう子ども達も、 やわらかい足音を一生の友として、 歩き続けていって欲しいですね。