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心に響く声 -エンゼルボイス

●心を安らかにしてくれる音

♪卯の花の    匂う垣根にほととぎす        早もき鳴きて

                 しのび~ね も~らす 夏~は来ぬ~ ♪

花の香り、そして、どこからともなく聞こえてくる季節の訪れを知らせる鳥
の声…。そんな中にいると、私たちの心は安らかな気持ちに満たされていきま すね。耳にする人の声も様々ですが、今日はエンゼルボイスについてお話し
てみたいと思います。

●フィンランドの思い出

もう 15
年も前になりますが、20世紀最後の年の暮れをフィンランドで過ごしたいと明先生と出かけました。凍りつくような北欧の夜空を一
瞬にして七色の光に輝かせ、染め変えていくオーロラの見事さは言うまでもありませんでしたが、もうひとつ私を感動させたものがありました。それは犬ゾリの手綱を     引く一人の女性の《》でした。まるでおとぎの国から出てきたように物腰もやさしく、端正な顔立ちの 30 代ぐらいの女性でした。

私たちは零下 20 ℃の寒さに耐えられるよう、分厚い防寒着を着せられ、仰向けに横たわり、頭だけを起こした姿剪でソリに乗せられました。吠えたてる犬たちの手綱を持ち、彼女がスツとソリの先頭に立つと、一声「シッ!」と
いう声がして、手綱が引かれ、犬たちは一斉に勢いよく氷上に飛び出しました。ほんのりと月明かりのような(冬の北極圏では昼間でも太陽の光がほとんど射さず、夜のように薄暗いのです)太陽の光に照らされた広い広い凍った湖の上
をソリは果てしなく滑っていきます。空からはまるでダイヤモンドのようにきらめく雪が舞い降りてきます。

シーンとした静寂の中に聞こえるのはザッザッザッと駆けていく 20 匹の犬たちの足音と、時折方向転換のために合図される「シッ!シッ!」という声だけ。「とても小さな声なのに、なんて凛として穏やかな声なんだろう!」目の前を走るこの犬たちは、きっと彼女にとても可愛がられているに違いない。彼
女と犬たちの心が強い絆で結ばれているからこそ、こんな小さな声でもすぐに犬たちの心に響くのだろうなと思えるほど、あたたかく慈しみに満ちた声でした。そして私には、それはダイヤモンドダスト(雪)に乗って天から降りてき    た天使の声のように感じられました。

その声を一緒に聞いた明先生は、それから5 年後に生死をさまよう様な大病をされましたが、その病気を機に、ボディートークの繊細な生命を大切にする感性としてのエンゼル・ハンズとエンゼルボイスが生まれました。そしてそ
の後、ボディートークの内容は生命にとって更に深いものになっていったのです。

今は看護師・助産師・保育士さんが現場でそれを皆で取り入れ、成果を実らせている嬉しい報告もあります。どうやって育てていくのかをまた次回お話ししたいと思います。