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心がときめく秘密

● 桜が知っている私のひみつ

ないしょ  ないしょ  ないしょの 話は あのねのね
ニコニコ にっこり  ね母さん〜 ♪

この歌のように、秘密のお話って何だかちょっと胸がときめきませんか? 私にも心がときめく《ひ・み・つ》があります。20年前、アキコダンスファ ミリー(私の主宰する、赤ちゃんから80代までが踊るダンスグループ)の10 周年記念に福岡の甘木公園(通称丸山公園)という桜の名所に桜の木を献木させていただきました。

皆で一人ずつ自分の願いを書いた紙を、その木の根元に一緒に埋めま した。その木は20年経ち、もう立派に大きくなっています。もちろん願いを 書いた紙はすでに土になっています。でも、私だけが知っている紙に書いた願いは、春の桜の花とともに膨らみ続けています。

● 折鶴に込められた願い
もう一つの私の心がときめく《ひ・み・つ》 は折鶴のお話です。かつて私が短期大学で教鞭 をとっていた時、縁あってアメリカのスティー ブンス大学に日本舞踊の交換教授として招かれ ました。

1月から3月までの短い期間でしたが、 100年の歴史を誇るその大学のダンス科には、 世界各国からすぐれた若いダンサー達が集まり、 スカラシップ学生として30名学んでいました。ミズリー州は、その年例年に ない豪雪でした。まだ薄暗い朝、誰の足跡もついていない白銀に染められた広い広いキャンパスを、着物を着て、ピンクのブーツを履いて一人教室へ通 っていました。(毎朝20~30cmの積雪でした)

講座のまとめとして学生全員で踊る日本舞踊のコンサートを無事に終え、お別れの日がやってきました。私は彼ら、彼女らの為に、プレゼントを用意して いました。(それは小さな折鶴でした。全長 4~5cm)「日本には千羽鶴というものがあります。一羽一羽に自分の願いをこめて折っていくのですよ」と、 折鶴の歌を歌いながら、一人ずつの手のひらに、それを渡していきました。実 はその折鶴のウラには、「いつまでも、すこやかに」という私の願いと一人一 人にあてたメッセージが書き添えられていたのです。でもその事は折り鶴だけ が知っている、私の《ひ・み・つ》です。

ベンチの贈り物 では最後にとっておきのお話をいたしましょう。京都にある妙心寺のバス停 には、木製のベンチが一つありました。でももうボロボロになってしまって腰をかけるのも怖い位。ところがある日、バス停での二人の女性の会話。

Aさん「アラ!このベンチ新しくなったんですね。良かった〜。これで安心して座れますね。ああ気持ちいいこと」 Bさんも「アラ、本当に気持ちいいですね。良かったですね」とニコニコ顔。実はこのBさんこそ、ベンチを注文し、そっと誰にも分から ぬように置き換えた方だったのです。

その方の名前は増田美和さん。そう、明先生のお母様だったのです。そのお母様は来年で100歳になられます。いつお会いしてもお元気で、明るい笑顔で微笑んで下さいます。その微笑みに包まれると、心も体もホッと暖かくなっていきます。

そしてお母様の心の奥には、もっともっと《きらめくひみつ》が いくつも隠され、それが明るさと元気さとなって輝いていらっしゃるのでしょう。長い人生を歩いて来られた方々の心の奥には、外から は見えないけれど、きっと《きらめくひみつ》がいっぱいあるのでしょうね。

《内なるきらめき》が持つ穏やかさは、私にはこよなく美しく感じられます。 その美しさは、いつの日か私もそうなれたらと願う心を育ててくれます。みなさんの周りにも《きらめくひみつ》のお話がたくさんあることでしょう。時々、 そんなお話をゆっくりお互いに語り合うと、あちこちに心の花が開き始めるような気がしています。