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気が合わない、ということについて

あきらめて我慢をしたり、同じ仕事をするにしても、気の合う人と一緒だと気持ちも楽だ。合わない人と一緒だと、その存在感が重荷となっ て仕事も思うようにはかどらない。「気が合わない」ということは「息が合わない」ということである。

この場合の息とは、無意識下で行われている。 その人本来の息の仕方のことである。だから人は出会って早々に「この人とは気が合わないな」と直感したりする
無意識下で合わないものを、そのままにしておけば、いつまでも合うはずがない。それで不幸にして同じ職場に気が合わない人がいると、 これは宿命なのだ、と半ばあきらめて我慢をしたり、出来るだけ接触しないようにして、やがてはワザと無視したりする。

「それも仕方がない」と溜め息 をついているのは必ずしも自分の側だけではない。こちらが合わなければ向こうも合わないのだ。
ところが気というのは息の問題なのだとわかれば、解決の方法もあろうというものだ。息の問題を意識のレベルで捉え、体ぐるみで学習することで、息を合わせるコツを会得する方法がある。

前回述べた「飛行機ショー」は、積極的に息を合わせる能力を身に付けるためのパ フォーマンスである。即ち全身で相手の息を受け入れ、全く同じタイミングで動くことを可能にする。

社員研修ではまず二人一組で練習をする。一方がリーダー、他方がメンバーとなる。 息合わせは互いに歩み寄って初めて成功するものだが、リーダーの役目とメンバーの役目は、そのポイントが異なる。

パフォーマンスの仕上げは六人一組となる。前列に立て膝になって三人が並び、その後ろに三 人が立って後列を作るのだが、六人のうちの誰がリーダーになってもよい。息がピッタリと合ったチームは全員が自信に満ちてはっきりと動き、しかもタイミングが見事に一致しているので、どの人が合図しているのかが全くわからない。まるで魔法を見ているように感じるので、会場には大きな拍手が起こる。演じたチームは爽快感 で意気揚々としている。

成功するにはいくつかのポイントがある。また、このポイントを体得するのが、「飛 行機ショー」のねらいでもある。そして、一度身に付けば、日頃の仕事でも大きな効力を発揮するし、家庭生活でもこのポイントは大事なことである。
まず「良きリーダーの条件」を簡潔に述べよう。

1. リーダーは明快な指示をする。
リーダーは鮮明に飛行機をイメージし、自らの発声で遠くから飛んでくる音を微かにメンバーに伝え始め、次第に大きくして声のニュアンスで首を振るタイミングを知らさなければならない。

明快な動きをするためには、リーダーは気を静め、イメージをしっかりと整理する必要がある。整理もされていないのに見切り発車をしてはいけない。見切り発車をすると、途中で動きがあいまいになるので、メンバー がうろたえてしまう。

リーダの役目は、この明快な指示にあるのに、それを 怠っている人が案外多い。そういう人は「部下が動かない」と文句を言う前に、自分の指示がスッキリしているかどうかを点検してみる必要がありそうだ。

2. リーダーは先走りをしない。
リーダーの指示を受けてメンバーが動き出すには、それなりの準備の間(マ)が必要である。「指示はしたぞ、すぐについてこい」では強引というもの。
リーダーは全身でメンバーの発声、息遣いを察知しなければならない。「いける」 と感じたら迷わず大胆に行動を起こす。するとメンバーは信頼して同時に動くことができる。

さて、問題はメンバーの側である。世にリー ダーを養成する研修は多いが、指示を受ける側のコツについてはあまり聞かない。
次回は「良きメンバーシップの条件」につい て述べよう。