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優しくしてもらうと優しくなれる

|ボディートーク自由表現法

生命が弾む

毎年恒例のクリスマス公演「星の王子さま」でチビッ子ぎつねを演じたのは4才になるカナエちゃんです。いつも瞳をキラキラと輝かせてすばしっこく走り回るのでみんなの人気者。なかなか勝気な女の子です。

ミュージカルでは舞台いっぱいに拡がった大きな網に、 一人で捕まえられてしまう役ですが、練習ではいつも遊びまわっていて、肝心な時には練習室にも姿がなくて、他の子が代役をしているという状態でした。ただし代役が演じているのをひそかにどこがで見ているのでしょうね、本番 だけはしっかりと自分で演じました。

そんなカナエちゃんですが、幼稚園ではみんなの面倒をよくみるそうです。 4才になった子供たちは年中組に昇格しますが、新しく3才の幼児たちが年少組として入園してきます。そうすると年中組は競って年少さんのお世話をします。

でも、すぐに飽きてしまいます。しかしカナエちゃんだけは ずっと年少さんのお世話を続けているそうです。
ある時、幼稚園の先生がお母様にたずねました。「一人っ子のカナエちゃんがここまで小さい子の面倒を見るのは、どこがで大きい人たちにすっごく可愛がってもらっているのではないですか?」

お母さんは即座に「子供ミュージカルに通っています。」と、練習の様子を話したそうです。「充分にやさしくしてもらってると、自分も他人にやさしくなれるんですね、」というのがお母様の感謝の弁です。

表現にも同じことが言えます。自然で暖かい味のある声や表現が囲りにいっぱいあると、自分自身も自然に穏やかに出しやすくなります。一日中怒鳴られっぱなしの子供はどうしても息を詰めて固い表情になりますし、表現をさせても攻撃的で囲りをイライラさせます。

イジメの問題もそういうところから発生するのでしょう。家でも学校でも冷たい息で押さえ込まれている子供は、どこかで発散しないと自分自身の心や体を保てないものだから、まず自分に受けた毒をぶつけやすい相手に向けるのでしょう。その相手という のが大人に従順なオリコウちゃんであったり、攻撃してこないおとなしい子であったりするのです。

そういう意味もあってボディートークでは表現の前に体ほぐしをします。まず自分の 中に潜んでいる毒の息を抜き、しこりやゆがみを取り去ってスッキリしておくことが前提です。その上で思う存分、自分自身をさらけ出すことにしています。そうすると弾む生命の、自然で豊かな自分を表現するようになります。

自然表現法、
「スカーフ」―― 流れに身を委ねる

絹のスカーフは手にしてもほとんど重みを感じません、また柔らかく首を包みこんでくれます。そんなスカーフを頭上に持ち上げてフワッ~と広げ、ゆらめくように色々なうねりを見せながら舞い降りていきます。

この美しく流れるゆらめきのイメージを自分の体で表現してみましょう。飛び上がっ た時の体の揺れに素直に身を委ねユラユラと床に流れ込み、体の端まで充分に降ろして、最後はゆったりと寝てしまいます。

・イメージを体で作れない人は実際にスカーフを放りなげて遊んで見るのもいいでしょう。

また、体でイメー ジを作るにはちょっと軽く何度も跳びはねて、その勢いの中で両手を横に上げてみて下 さい。やがて重さを感じさせない動きが生まれるでしょう。

よろこびの気持ちをふくらませていると、本当によろこびがやってくるように、「スカーフ」の動きを楽しんでいると、しなやかで軽やかな身のこなしが自然に自分の日常 の動きとなり、例え外で転んでもフワッと柔らかく着地するでしょう。