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机運びで試してみる~自分感覚を磨くチャンス

異和感があると相手と距離保つ

本音は無意謙下の行動に現れる。意讃でどんなに隠そうとしても言葉の端々や何気ない仕草にポロッと出てしまう。憲讃でカバーできるのは所詮、達前であって、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、なのである。

例えば二人、並んで歩くとしよう。相手が自分を嫌っているか、好意を持っているかは足を運ぶタイミングに現れる。然り気なく 自分の歩くテンポを変化させて、相手がそれにどのように対応するかを調べてみれば判る。

好意を持ってくれている場合は、何の躊躇もなく変化に応じてくれるので、共に歩いていで も疲れない。タイミングが自然に合うのであるc 恋人の場合は更に積極的にお互いのタイミングを合わそうとするので、気が気を高め合って足が軽くなり、何時間でも歩ける。

反対に謙悪感を持たれている時は大変だ。一歩一歩確実にタイミングをズラしてくるから、お互いに足の運びは重くなる。だから百メートル歩くのでも疲れる。階段を登る時は更に顕著

だ。同時に足を上げてくれれば楽に登れるのに、ほんのわずかずつ遅れて上げてくるものだから、   まるで相手を引きずって登るみたいなものである。もちろん相手はわざと遅らせているのではなく本人も気付いていないのだ。
つまりこのような歩くタイミングは、良きにつけ悪しきにつけ無意識の感情の中でコントロールされている。即ち好意を持っている人の時は絹和感を楽しみ、嫌悪感を持っている人の時は異和感を持ち続けることで相手との距離を保っているのである。

では、韻和感や異和感がどのようなものであるかを体で直接、確かめてみよう。両手を合わせ   指を組んでみる。この時、左右どちらの観指が上になっているか?
手の組み方は遺伝によって決定されている。右手の親指が上になれば優性遺伝。左手の親指が上になると劣勢遺伝である。人は各々の遺伝に従って何の矛盾なく自分の組み方をするので、手と手はなじみ合って親和感がある。そこで手を組み讐えて、遣伝ではない方でギュッと握ってみよう。
こうすると手にたちまち不快感が走る。これが異和感である。

嫌いな人と接する時、人は無意議の中で自ら異和感を作り出す。自ら作り出すことで自分自身を納得させているのである。
この法則を私の友人に話したところ、彼は「なるほど」と深くうなづいた。というのは彼にはイヤミな上司がいて、叱言がネチッこい。そこでお叱りを受ける時は、遣伝ではない方の手の組み方をわざとしていたのだ。そうするとその時間が耐えられる。
ポディートークでは、この無意識下の親和感や異和感を意識のレペルにまで高めて積極的に活用する。

机運びで息を合わせる

活用の一例を述べよう。社員研修で「長机を二人で運ぶ」というシーンである。まずは何も説明で机を運んでもらう。早く済ませようと焦る組もあるし、イヤだなあ、とクズグズする組もある。スムーズに落ち着いて運ぶ組もあるが、私から見ればそれでも上手いとは言えない。実は、机運びはボディートークを活かす絶好のチャンスなのである。自分の感覚を研ぎ澄ます実践の場なのである。

相手が机を運ぶタイミングは、机を通じてこちらに伝わってくる。そこで、持ち上げる瞬間や手の高さ、歩き出すタイミングやテンポ、運び終わって机を下ろすタイミングなどをピタッと一致させる。そうすると相手はまるで自分一人が机を運んでいるような錯覚さえ覚える。そういう説明をして机運びをしてもらうと会場の空気は静かに、和やかなものとなる。みんな机から伝わる感覚と自分の動きに集中し始めるからである。

相手の一挙手一投足に集中をして、タイミングをビタリと合わせる成功感を楽しむと、時の経つてれ、次第にテンポも上がってくる。そうすると息が弾んできて楽しくなる。あと机をいくつ運ばなくてはなどと考えていない,タイミング合わせを楽しんでいるうちに、何時の間にか終わってしまったという具合である。

「 息が合う」チームワークは、このようにして 身に付いてくる。




赤ちゃんと母親は一心同体②

みなさんは赤ちゃんがお母さんの腕の中から離される時にどんな思いをしているのかお分かりですか?例えば、暗闇の中で頼りになる人とつないでいた手が急に離されたら、不安になりますよね。これと同じことが、赤ちゃんの心と体に起こっているのです。そんな時、普通、赤ちゃんは不安になって泣き出すのですが、泣けない赤ちゃんもいるのです     それは次から次へやってくる不安から(お母さんの腕から離され、他の人へ抱っこされていく緊張)、自分で自分 を守るためにしっかり体を固めていくので、泣くことも出来なくなっているのですっ 迷子になった子どもが じっと身を固めたまま黙り込んでしまっている。(これが泣かない赤ちゃんの状態と同じです)

でもお母さんが見つけてくれて、その子に駆け寄り抱きしめると、安心してそれまで不安で固めた心をほぐすために(本をふるわせて大泣きする光景は良く見かけますね。こういうおしゃべりを色々しながら体ほぐしをしていくうちに 、 R 子さんの体はふんわりやわらかくなり、表情も穏やかになって明るい笑顔が戻ってきました。「そう言えば、取り巻きの大人たちが 誰もいなくなって私と二人っきりになると、火がついたように全身で泣き出す事が 多かったのは 、そういうことだったんですね , A子ちゃんゴメンネ、守ってあげられなくて  これからはママが守ってあげるからね」その後、 A子ちゃんの体ほぐしもしましたが、お母さんと同じようにしばらく大泣きをしてスッカリ心も体もほぐれ、自然なニコニコの顔になってくれ ました・・・

生まれたての赤ちゃんとお母さんは一心同体。またお母さんは赤ちゃんを愛おしいと思い、抱き続けることで、おっばいの出もよくなります。赤ちゃんも安心して お母さんに抱かれていると、免疫力も高まって病気 になりにくいのです、 二人でゆったりと静かに、たっぶりとした夢心地の時間を保証してあげることも、素敵な出産プレゼントですね・

**   ちょっとアドバイス    **

待ちに待った初孫が生まれて、もう可愛くて可愛くて、 目に入れても痛くないおばあちゃんやおじいちゃんにとっては、 お母さんから赤ちゃんをあまり取り上げてはいけないという《赤ちゃんと母親は一心同体》のコメントは、面白くなかったかもしれません。 そんな方へちょっとアドバイスです。

赤ちゃんを抱っこした時の、あのふんわりとした、やわらかで暖かい生命の感覚は、何とも言えませんねでは、  その心地良い感覚を、今度は御自分の体にたっぷりとあげるというのはいかがでしょうか?

I《暖かい息での声掛け》(「寄り添いほぐし」の要領です)
① 暖かい息を両手いっぱいに「ハァ~ 」とたっぷり作ります。その息で全身を包んでいきます。
② 両手のひらで、自分の頭•肩•腰•足と、ゆっくり、ふんわりなでるように触れていきます。
③ その時ささやくような声で充分ですから熱い息で「大きくなったねぇ~」「よく頑張ってきたねぇ~ 」などと、何度も自分に言ってあげましょう。

最初はちょっと恥ずかしいのですが、 赤ちゃんに語り掛けるように繰り返していくと、体中がホカホカしてきます。

II《抱っこペンギン歩き》:
① 赤ちゃんを抱いているイメージで、自分の両肘を、両手のひらで包みます。
② ヨシヨシと赤ちゃんを優しく寝かしつけるようにイメージして、 「ホッホッホッ…」と発声しながら、細かな上下動をしてペンギン歩きをします。

Ⅲ《抱っこ胴ぷるい》:
① IIと同じスタイルで、今度は「アー」と発声しながら、ゆっくり赤ちゃんを揺さぶるように胴ぶるいをします。 (※II·Ⅲは、時々、実際に赤ちゃんを抱っこさせてもらって、そのイメージを確認しながら練習すると効果抜群です。 )

ⅠからⅢは、 マタニティ講座で妊婦さんやご主人に、 出産前から練習されるようお勧めしているプログラムですr これらのパフォーマンスをしていくうちに、“ああ、自分もこのように大事にされ、 育てられてきたのか” と感謝の気持ちが湧いてくるかもしれませんまたこうやって苦労しながら子育てをしてきたな、  と頑張ってきだ自分を恋しく思えてくるかもしれません。こうして自分を大事にする声掛けや動きが身についてくると、 心と体がぽんわかとした感覚に包まれていきますn そして、それは実は赤ちゃんが大好きな、だれもの命が喜ぶ感覚なのです。ぜひ一度やってみてください。




赤ちゃんの心はどうしてわかるの?

新幹線に乗っていると、どこからか赤ちゃんの泣く声が聞こえてきます。「あぁ~あれは暑いと言ってるね。ちょっと洋服、着せすぎじゃない?」「あぁ~ あれは怒ってるね」とか、増田先生はすぐに赤ちゃんのことを声で聞き分けられます。ボディートークを習い始めた最初の頃は、どうしてそんなことが声で分かる の?と、不思議でたまりませんでした。

私がボディートークに出会って 20 年近くになりますが、気付くといつの間にか、私も赤ちゃんの声の中に心を聞くこ とができるようになっていました。「声は体と心をつなぐかけ橋」であること。声 で、息で、相手の心が分かること。これは、ボディートークの大きな魅力の一つで す。

今回は、赤ちゃんの心を声で分かるようになるコツについて、お話してみまし ょう。
待ちに待った、初めての赤ちゃん。でも、生まれてみると泣いてばかりで「あぁ、 どうしたらいいの? 何を言ってるのか分からない~」と困っている、新米ママとパパ大丈夫ですよ。最初は誰もがみんなそうだったのですから・・・。

どうしてあげたらいいのかしら?「おっぱい?」「おしっこ?」と、一つ一つ試しながら、 少しずつ赤ちゃんのことが分かっていくのです。


【赤ちゃんの心を知るレッスン 1】
ちょっと余裕が出来たら、赤ちゃんが泣き出した時、なるべく赤ちゃんと 同じ声で、同じ表情をして、同じ動きをしながら、一緒に泣いてみましょう。なる べくそっくりになるように。声のレベルも同じにしてみて下さいね。

そうやって何度も赤ちゃんの真似っこを練習しているうちに、「あぁ、この声は、お腹が空いた 時の声だな」「あぁ、この声は怒っている時の声だな」と、分かってくるようにな ってきますよ。赤ちゃんの《心》を知っていく方法が身についてくると、これからの子育ての中でとても役立つことが多いのです。

つまり、《子どもの心を通して、 分かってあげられる、パパ・ママ》になれるのです。素敵だと思いませんか?


【赤ちゃんの心を知るレッスン 2】
赤ちゃんの心を知るレッスンを、もう少しレベルアップしていくには

まず、ボディートークの一人ほぐし、自然体運動、二人ほぐしで、しこりやゆがみをせっせと取り除いていきましょう。そして、素直でクセのない、赤ちゃんのような体づ くりを目指しましょう。(粘土で何かを作る時、まずやわらかくして、何の形にでもなれるようにするでしょ、あれも同じことです)


【赤ちゃんの心を知るレッスン3】
では、いよいよ、自分の体を変え、《悲しみの感性と声》を作っていくレッスン です。 (※ミュージカルの、悲しみの場面の練習にも有効です)

1  自分の両手を、両脇下のところへ置きます。

2  その両手を、両脇から胸の中心(胸椎3,4番のところ)に向かって、グッ、
グッ、グッと少しずつ締めていきます。

3  胸が締め付けられて苦しくなり息が詰まってきます。

4  グッと押すごとに、「ア、ア、ア、ア」と声を出してみましょう。 .

5  今度は、1~4のスピードを少しあげて、一気に押し続けながら、泣き声に
変えていってみて下さい。

6  その動きをしながら、「悲しい、悲しい」と 思い、悲しみのイメージを加えていくと、泣く体になり、声になり、今度は切なさや悲しみが、内から湧いてくるようになります。

どうですか、涙が出て泣けましたか?この時の泣き声が《悲しみの声》です。
ところが、赤ちゃんは、怒っている時にも、お腹が空いている時にも泣きますね。 他にも自分の欲求が満たされないと、それを泣くことで相手に伝えようとします 。では怒っている時やお腹が空いた時の体はどうなっているのでしょうね。

関心のある方は是非、『ボディートーク入門』(創元社)の「心の働きは体に正確に表れる」の章を参考に、色々と練習をしてみて下さい。
実は私もそうやって、赤ちゃんとお話してみたいと強く願い、その声(息)と体の在り方に感動し関心を持ち、ただひたすら、せっせと練習し続けたのです。 するといつの間にか、赤ちゃんの声と心が分かるようになったのです。


最後に、赤ちゃんは体を楽にしようとして泣くこともあります。例えば、眠る前 に泣くことで、体を温め、ほぐし、眠りやすい体にしているのです。ですから、新 米ママも時々は、「もう、分からないよ~ 出来ないよ~」と、オーバーワークになった自分の心や体のために、赤ちゃんのように泣いてみてはいかがでしょう。そ して、泣きながら「よく頑張っているね」と、自分を誉めてあげて下さい。息がほぐれ、子育てがきっと楽になっていくと思いますよ。




焦りの気持ちがやがて五十肩に

肩の力を抜くことは大変にむずかしい。抜いたつもりでも力ん でいることが多い。 ところで、肩に力が入っているのか否かを調べる方法がある。


まず二人で向かい合う。調べられる人は両腕をダラリと下ろし て静かに立っている。調べる人は、その人のどちらかの肘を持っ て肩の高さまで上げてみる。肩の力が抜けている場合はズシッと重みを感じる。平均的な女性の腕で5~6kgの重さはあるのだから、腕一本といえども随分重い。そして調べる人がその肘からサッと手を離すと持ち上げられていた肘はストンと下へ落ちるはずである。


これとは逆に、肩に力が入っている人の肘は持ち上げてみても重く感じられない。何故なら腕を自ら支えてしまっているからだ。このような人の肘は、手を離してもダランと下へ落ちては来ない。
「肘が上がったままだよ」と注意してやると、慌てて自分で手を下ろしたりする。


肩に力が入るのは精神的な要因であることが多い。即ち焦りの気持ちである。焦りの気持ちは肩甲骨の中央部にしこりを作る。そしてこのしこりは不思議なことに触られて初めて痛みを感じるわけなのだ。


肩甲骨中央部のしこりが更に強くなると、肩の付け根の筋肉が固くなって血行も悪くなっていく。 そうすると肩関節を中心にその周囲が炎症を起こす。やがて腕の方にも痛みが走り始める。俗に言う五十肩の症状である。五十肩になると痛みのために腕が上がらなかったり、肩に手が回せなくなる。そのために誰でも事ここに至れば治療を本気に考えざるを得ない。


運動療法としては、痛む方の腕を反対の手で握ってストレッチングを行ったり、アイロンをぶら 下げて腕を振ってみたり、痛む方の手でタオルを握って反対の手でそのタオルをいろいろに引っ張ってみたりするようだ。


この場合に一つ問題がある。それは息である。痛みをガマンして腕を動かすために息を詰めてしまうのである。息を詰めると筋肉は固くなる。だからボディートークでは声を出しながら運動を行う。

まず正座をして、次に両手を前につく。頭をストンと落とすと、両肩甲骨が最も高い位置になる。 この姿勢で「アー」と発声しながら上体を左右に揺らすのである。肩甲骨と肩甲骨とをこすり合わ せるイメージである。


虎が座っている姿に似ているので「虎の背揺らし」という。この運動は行うほどに背骨がよくほぐれて、上体がヘビのようにクネクネする。そうすると焦りのしこりがとれていくのである。


このように声を出しながら体を揺するのがコツであるが、発声は少し意識しないと出にくいもの である。折角「虎の背揺らし」をしていても、気がつけば黙ってやっていたというようなことがよくある。


座って体を震わせているのが「貧乏ゆすり」である。これは焦りの気持ちが無意識に足を揺すらせる。気が急くと息が速くなり、体が硬張ってくる。体はその緊張のエネルギーを本能的に逃がそうとして、最も動きやすい足を小刻みに震わすのである。傍目には見苦しく、せわしないので「貧乏ゆすり」と言うのであろう。


陸上競技界のスーパースターであるカール・ルイスも競技場で絶えず両足を震わせている。インタビューの最中でもやっている。しかし、この場合は「貧乏ゆすり」とは呼ばない。何故か。カール・ルイスもやはり心の緊張が足を固くす るので、足のリラックスのために行っているのであるが、実は意識的に動かしているのである。

意識的に行う場合は柔らく動かすので、緩急自在に震わすことができる。 ボディートークではこれに更に発声を加えて行う。
こうして体の緊張がとれると同時に息もほぐれるので気持ちも楽になる。
私はこの素晴らしい運動を「美貌ゆすり」と名付けた。




生理痛を解消

●「お尻ゆすり」の効用

皆さんは、小学生の時どんな性教育を受けられましたか?そんなものは受けた事 は無かった、という時代の方もいらっしゃいますが、今の小学校では1年生の頃から教育プログラムに組まれ、コンドームの使い方まで教えられるところもある、という時代になってきました。

私も30年近く、女子短大で女学生達に体育、運動生理学、保育などの授業の中で女性の体、心の問題に触れてきました。しかし、ボディートークに出会うまでは、生命のしくみについて述べることはあっても、生理の時の不調や違和感をどう解消すればよいかについては、何ひとつ教えることはなかったのです。

生理の時は、不快感や痛みがあるのは当然で、ほとんどの人は諦め、どうしようもない時は「痛くなったら、すぐセデス!!」のコマーシャル どおりの薬に頼る解決法が当たり前になっていました。


でもボディートークを知ってからは、授業の実技テストは「ボディートークの体 ほぐし完全マスター」となりましたので、学生達はひたすら体ほぐしに励みました。

この授業が終わる時 (15 時間受講)には、“生理痛のない体になろう”が、一つの スローガンとなり毎月、生理痛でお腹をかかえこみながら保健室に倒れこむ学生に「騙されたと思って、 ひたすら体ほぐしやお尻ゆすりをやってごらん、きっと楽になるから」と言い続けました。その成果は見事に表れ、「先生、いつの間にか生理痛はなくなってます。」と嬉しい報告になっていきました。


もちろん「お尻ゆすり」は痛みのある時に、即効効果もあります。そして日頃か ら一人ほぐしや二人ほぐしをしていくと、体のしこりやゆがみも取れます。そうすると副交感神経が優位になって、生理は心と体の掃除をする方向に体のリズムが切り替わるのです。生理であっても痛みや不快感のない体になっていくのです。そう生理のときは体の大掃除をしていくチャンスなのです。


●自分の体のエコづくり

今、エコブームですが、月1回やってくる生理の時は自然の力の働きで内感能力 が高くなる絶好の時、まさに体のエコづくりのチャンスです。成長の早い女の子は、 小学校3,4年生頃に初潮がきます。その頃から自分の体の不調を自分の力で(自然の力を多いに働かせ) 解消する方法を発見し身につけることは、とても大切なことです。

それはまた積極的な「すこやかな母体づくり」ともなるでしょう。丁寧に自分の心と体の声に耳を傾け、あたたかく自分をいたわるその営みはやがて、すこやかな妊娠、出産につながっていく道であることを、女の子も男の子も体ほぐしの実践の中で知っていって欲しいのです。

痛み止めの薬にサヨナラして、まずお尻ゆすり。 そういう姿勢が《生命を大切にする教育》のベースになっていって欲しいと思っています。

※生理痛の原因には色々ありますので、ひどい場合は医者の診断を受けられることをお勧めします。


【一人で行なうお尻ほぐし】

1 お尻チェック

自分の右と左のお尻の柔らかさをチェックしてみて下さ い。左右の柔らかさが異なると腰骨や仙骨のゆがみが生じています。まず、自分の手で「ア~」と発声をしながら、つきたてのお餅のようなお尻になるよう、ほぐしていきましょう。

2 お尻歩き

足を伸ばして座ってください。右、左 のお尻を床から浮かして「ホッホッホッ」と発声し ながら、お尻歩きをします.(前後、左右にも気楽に歩きます)

3 うつ伏せお尻ゆすり

うつ伏せ寝姿勢で、両脚を少し開き、お腹やお尻の中を水の袋のようにした” イメージで、アーと発声しながら、ユラユラと気持ちよく揺らしましょう。


@仙骨のまりつき

仰向けに寝て、両膝を立てます。お尻の下に両手を敷き、「ホ ッホッホッホッ」と軽く発声しながら、お尻を物のように上下に動かします。両手の上にそのまま気持ちよく「アー」と発声しながら揺らす動きも効果的です。

5 両膝倒し

仰向けに寝て両膝を立て、両足をそろえたまま右、左、好きな方向 から横へ「バターン」と倒し、次に「キュッ」と言いながら元へ戻します。同じ方 向を数回繰り返します、次に、今度は反対方向に同じ動作を繰り返します。痛い時は痛くない方を多く行います。また倒す方にバスタオルなどを置いて、倒れる角度を浅くするなどの工夫をしてみて下さい。


【二人で行なうお尻ゆすり】
うつ伏せに寝た人のお尻を、右、左と、交互に揺すりながら、やわらかくほぐし ます。やわらかくなったら、お尻の両サイドに、そっと両手を添え、相手のお腹やお尻の中が水の袋とイメージして、中身がよ~く動くよう揺すります。「アー」と発声します。




猫が鍵盤を歩くと良い響きに

「肩の力を抜いて!」というアドバイスは様々な活動の中で誰しも一度ならず受けているだろう。ゴルフや野球などのスポーツは言うまでもなく、コンピューターやワープロ等の操作でも肩に力が入っていると動きは鈍くなるし目も疲れやすくなり、思考力 も低下する。営業面でも表情は固くなり行動もセカセカとして 対人関係もギクシャクしてくる。


どうしてそうなるのか? 肩に力が入ると肩が上がる。肩が上がると肋骨が持ち上げられて胸郭が狭くなり息が浅くなり、のびやかに動くことができないし、疲労もすぐにやってくる。


私はもともと音楽家なので 楽器演奏の面から述べると、「肩の力を抜く」ことの大切さはどんなベテランであって も練習の毎に、演奏の毎に絶えず頭の中に入れておかねばなら ない一大ポイントなのである。


例えばピアノの鍵を一つ叩くとしよう。その響きで素人かピ アニストかが判別できる。ピアニストの音は体の重みから出るので柔らかくて幅がある。素人は腕の力や指の力で音を出すので固くて深みのない響きになる。即ち素人は肩に力を入れて奏でるのである。


猫が鍵盤の上を歩くといい響きがすると言われているが、私はまだ猫にピアノを奏かせたことは ないのでわからない。でも猫はピアノを奏くという意識がないので、力みなく歩くだろうから、本当にいい音かもしれない。


それほどに人は何事かを行う時、肩に力が入るのである。入ってはいけないと頭ではわかってい ながら、勝手に入ってしまうのである。何故か? それは自分ではコントロールできない無意識の精神的な要因によって起こるからである。


この場合の精神的な要因は身構えである。さあ、やるぞ、と気負ったり、やらなくっちゃ、と思 うだけで肩が緊張してしまうのである。緊張は焦りの心を生む。するとまず肩甲骨の中央部にしこりができる。


先日、ある会社の部長さんが健康体操をしたいと私の所に見えた。体ほぐしの際、うつ伏せに寝てもらって、肩甲骨の中央部に私が親指を置いたとたん、「痛い!」とおっしゃる。ボディートークの体ほぐしは指圧ではないので、本当にちょっと触れるという感じなのだが、そ れでも飛び上がるように痛みが走る、という症状である。


これは典型的な焦りのしこりである。でも触られなければ痛みは感じないのである。長年にわ たって仕事の焦りから肩に力が入りっぱなしになり、力みが慢性化して筋肉が固くなってしまった ので、感覚が鈍くなっている。だから自覚症状がないのである。


その部長さんに「これは四六時中、焦っていますね」と私が言うと、「えっ、私は焦ってなんかいないですが・・・」といぶかし気だ。「あなたは仕事をする時、今やっていることそのものに気持ちを向けていますか? それとも、これが終われば次にあれを片付けて・・・、というように 先のこと、先のことへと考えを巡らせていませんか?」と聞きますと、「言われてみるとその通りです」という答えが返ってきた。


これが焦りなのである。犬や猫ならエサを食べる時は食べることに集中している。排便の時は排便の爽快感を味わっている。別のことを考えたりしない。
ところが仕事人間となると、食事の時も味わうことに集中しないで次の段取りを考えているし、トイレにしゃがみなが ら、新聞を見たり、考え事の時間だなどとうそぶいたりする。


私が高校の教師であった時に、通知簿をつけることだけは どうも苦手であった。学期末毎に生徒一人一人に何点とつけることが心の重荷となり、一枚作成する度に、ああ、あと何枚ある、と溜め息をつくものだから、遅々として仕事がはかどらなかった。

それがある日、ハッと気が付いた。今、やっていることだけに集中していれば、確実に通知簿は 一枚づつ出来上がっていく。だから何日までに、とか、あと何枚、とか考える必要はない、と。
そう考えた途端、気負いの心は消えて肩の力がストンと抜けるのを感じた。その後は苦手な通知簿つ けも楽に進むようになった




肩身の狭い思いとするとどうなるか

試験に不合格であったり、仕事上で大失敗などをすると、心の中で自分自身を責めるようになる。いわゆる肩身の狭い思いである。肩身の狭い思いは息を窮屈にさせる。息のあり方はその人の生き方であるから、自ら息を制限することによって自分に罰を与えているのである。この時、背中の上部、肩甲骨と肩甲骨の間がキュッと萎縮する。これが、私のいう「肩身の狭いしこり」である。

 母親でボディートークに通っている人がいる。娘さんが大学受験の頃であった。レッスンで背中ほぐしを指導していると、母娘ともども肩身がキュッとしまっている。「ハハーン、受験に失敗したな」と直感した。本人が何も言わなくても、背中のしこりで判断できるのだ。

二人ほぐしをすると母親の方が狭くなっていた。ということは、不合格のショックを母親の方がより強く受けているということである。そのしこりをほぐしながら、「えっ、分りましたか」と母娘で顔を見合わせた。しこりをほぐすと息が深くなって心に余裕ができるから、困難な事態も冷静に対応することができるようになる。帰り際に母親が、「実は昨日から、ものも言えなかったのです。でも背中ほぐしで心が落ち着きました。今後のことは、娘とゆっくり話してみます」と、いつもの穏やかな表情に戻っていかれた。

肩身が狭くなると息が苦しくなる。さらに極端に肩身が詰まってくると、発作的に乱暴な行動が出てしまう。次にその一例をのべよう。

M君が高校に通学した。受験直前に父親の特訓によって、本人の志望より1ランク上の高校になんとか合格したのだった。大きな体を縮めて少し内気な生真面目な少年である。ところが1学期末の試験日から登校拒否が始まった。マンションの自室に閉じこもったきり、一歩も外へ出ない。3学期にもなって両親の説得がいよいよ厳しくなったところで、家にある物を手当たりしだい、向かいのマンションに投げつけ始めた。当然マンションから苦情が出る。一日中、M君から目が離せなくなって母親はノイローゼ気味になった、M君を病院やカウンセリングに連れて行ったものの、好転しなくて、縁があってボディートークへやってきた。

さっそくM君の背中を調べてみると、肩身がしっかり狭い。そのため声も出ない。こういう場合は私の方も息をひそめて、ゆっくりと、ていねいに対応しなくてはいけない。やがて背中ほぐしが進むと、少しずつ声が出るようになった。すると腰が徐々に伸びてきた。肩身の狭い人がしだいに腰をかがめるよういなるのは、犬で言えば尻尾をうちへ巻き込んでいるのである。M君の腰も尻込みの状態になっている。これでは気力も出ない。

 M君には肩身を広げる運動を指導した。すると、その日から物を投げなくなった。理由はこうである。

 人は息ができなくなると暴れる。その瞬間には善悪の判断など吹っ飛んでいるのだ。M君は両親から責められ、自分自身も責めて、その思いが息を窮屈にさせていた。そして、その思いが極限に達した時、息ができなくなる。その瞬間、周りの物をつかんで思いっきり遠くへ投げつける。すると、呼吸筋がいっとき緩んで、一息つけるということなのだ。

 一ヶ月ほど通うほどに、M君の背中はほぐれていった。腰も伸び、声も普通にでるようになり、笑顔もこぼれるようになってきた。その折、母親から「おかげさまで、Mがやっと食卓で食事をするようになりました。」という電話をもらった。どういうことなのか尋ねてみると、M君は登校拒否が始まって以来、食事はトイレに閉じこもって一人で食べていたとのこと。息を緩めないと、食物はノドを通らないから、M君は一人でないと食事ができなかったのだ。

M君の心と体の状態を両親も納得して、やっと家庭でまともに話し合えるようになった。今、M君は自分の学力にあった別の高校へ元気に通学している。




背中のしこりと心のつながり

心の悩みは背中にしこりとなって現われる。だから背中のどの位置のしこりかによって、反対に心の悩みが何であるかを知ることが出来る。今回は、肩に現われる代表的なしこりについて述べよう。

その1、「肩の荷の重さ」― 仕事への責任感

仕事が次から次へと重なってきたり、また自分には出来そうもない課題を押しつけられたりすると、両肩に(正確に言うと胸椎1.2番の両側)がつり上がってくる。そういう肩を触ってみると、横棒が入っているかのように強いしこりができている。本人はまるで肩に荷物を載せているように感じるから、これを俗に「肩の荷が重い」という。

 肩の荷を長時間負い続けると、両肩がこんもりと盛り上がり、そのために首が自ずと前へ出る。そして重荷に耐えきれなくなったとき、伏し目がちになり、首もうなだれる。カバンを小脇にかかえ「肩の荷」を背負い、首を垂れてトボトボと、それでもけなげに通勤している人を見ると、「この人は、仕事がつらいのだろうな」とつい同情してしまう。

 肩の荷が重くなる人はもともと責任感の強い人である。そういう人はしょっちゅう肩こりに悩んでいる。無責任な人には「肩の荷」のしこりはできない。さらに「仕事をなんとしてでもやり遂げるぞ」と気力をふりしぼっている人はアゴに力が入る。それでアゴをしゃくるようになる。こういう人が歩くと、顔ばかり先へ行って、お尻が後に残る。気は焦るのに体がついて行かない。だから小股でセカセカと急ぎ足になる。

 このタイプの人は年中イライラしているから、本人も周りの人も短気はその人の性格だと思いがちである。しかし短気ということは息が短いということである。肩が上がるから息が短くなっているのだ。短気な人はやることなすことすべてがセカセカと落ち着きがない。「肩の荷」のしこりをほぐし、息が深く降りるようにすれば、このような短気はなくなる。

その2、「肩身の狭さ」― 切ない思い

失恋をしたり、仕事上で失敗をして同僚に顔を合わせられなくなったり、また、家庭内の不和などで悩むと、胸がキュッと締めつけられて息が苦しくなる。この時、背中の中央上部.肩甲骨と肩甲骨の間にしこりができている。こういう人を「肩身が狭い」という。「肩身の狭さ」を私が発見したのは、失恋のしこりを知ったのがキッカケである。かつて私は高校で教鞭をとっていた。音楽を担当していたのだが、生徒の声を明るくするために発声指導は背中をほぐすことから始めていた。

 ある時、声の暗い一人の生徒が背中に強いしこりを持っていた。正確に言うと胸椎3番の左側を固くしていた。何気なく話をしていて、その生徒は失恋をした直後であることがわかった。その後、同じ位置に同じようなしこりを作っている生徒がいて、聞いてみるとやはり失恋中なのである。そこで逆に、その位置にしこりを持っている生徒がみつかると、「キミ、失恋中?」と尋ねてみることにした。これが見事に的中したのだ。

 私が面白いように失恋を当てるものだから、音楽の先生は恋愛占いができるぞと評判になった。そのうち昼休みには連日、背中を占ってほしいと音楽教室前に行列ができるようになった。

 おかげで来る日も来る日も生徒の背中を見るハメになったが、このことで背中のしこりと心のつながりについて、その他いろいろなケースを知ることができた。プライベートな我慢のしこりは胸椎4番、家族関係のゴタゴタは胸椎5番、同僚や近所付き合いの不和は胸椎6番という具合である。ちなみに恋をすると、その兆候はやはり胸椎3番の両側に出る。恋をしている人の息は熱いから、しこりではなく、この部位が特に柔らかく弾力性に富むようになる。




心に響く声 -エンゼルボイス

●心を安らかにしてくれる音

♪卯の花の    匂う垣根にほととぎす        早もき鳴きて

                 しのび~ね も~らす 夏~は来ぬ~ ♪

花の香り、そして、どこからともなく聞こえてくる季節の訪れを知らせる鳥
の声…。そんな中にいると、私たちの心は安らかな気持ちに満たされていきま すね。耳にする人の声も様々ですが、今日はエンゼルボイスについてお話し
てみたいと思います。

●フィンランドの思い出

もう 15
年も前になりますが、20世紀最後の年の暮れをフィンランドで過ごしたいと明先生と出かけました。凍りつくような北欧の夜空を一
瞬にして七色の光に輝かせ、染め変えていくオーロラの見事さは言うまでもありませんでしたが、もうひとつ私を感動させたものがありました。それは犬ゾリの手綱を     引く一人の女性の《》でした。まるでおとぎの国から出てきたように物腰もやさしく、端正な顔立ちの 30 代ぐらいの女性でした。

私たちは零下 20 ℃の寒さに耐えられるよう、分厚い防寒着を着せられ、仰向けに横たわり、頭だけを起こした姿剪でソリに乗せられました。吠えたてる犬たちの手綱を持ち、彼女がスツとソリの先頭に立つと、一声「シッ!」と
いう声がして、手綱が引かれ、犬たちは一斉に勢いよく氷上に飛び出しました。ほんのりと月明かりのような(冬の北極圏では昼間でも太陽の光がほとんど射さず、夜のように薄暗いのです)太陽の光に照らされた広い広い凍った湖の上
をソリは果てしなく滑っていきます。空からはまるでダイヤモンドのようにきらめく雪が舞い降りてきます。

シーンとした静寂の中に聞こえるのはザッザッザッと駆けていく 20 匹の犬たちの足音と、時折方向転換のために合図される「シッ!シッ!」という声だけ。「とても小さな声なのに、なんて凛として穏やかな声なんだろう!」目の前を走るこの犬たちは、きっと彼女にとても可愛がられているに違いない。彼
女と犬たちの心が強い絆で結ばれているからこそ、こんな小さな声でもすぐに犬たちの心に響くのだろうなと思えるほど、あたたかく慈しみに満ちた声でした。そして私には、それはダイヤモンドダスト(雪)に乗って天から降りてき    た天使の声のように感じられました。

その声を一緒に聞いた明先生は、それから5 年後に生死をさまよう様な大病をされましたが、その病気を機に、ボディートークの繊細な生命を大切にする感性としてのエンゼル・ハンズとエンゼルボイスが生まれました。そしてそ
の後、ボディートークの内容は生命にとって更に深いものになっていったのです。

今は看護師・助産師・保育士さんが現場でそれを皆で取り入れ、成果を実らせている嬉しい報告もあります。どうやって育てていくのかをまた次回お話ししたいと思います。




羊水感覚の環境づくりを-妊婦さんへのメッセージ―赤ちゃんを迎え入れるために

北極の氷が溶けてしまう? 森林が無くなる?  渡り鳥がウィルスを運んでくる?ー今や地球環境問題は、全人類や生物がのっぴきならない事態に陥っています。そして外的環境のみならず、私たちの《内なる自然》即ら、体や心の
内部にも自然破壊が進んでいます。

新しい生命の誕生を、身を持って創造する妊婦さんにとっても、例外ではあり
ません。実は出産こそ純粋に大自然の営みなのです。その意味で、自然に反することは避けなければなりません。そして妊娠期は自然を取り戻す絶好の チャンスでもあるのです。受精、受胎、妊娠、出産と、この時期は母子共に最
も自然の力が活性化される、奇跡とも言える至福の時です。

そこで提案です。この<内なる自然>を実現する、大ぃなる知恵と体験を、地球環境を考える素敵なチャンスにして欲しいのです。こんな風に言いますと、そんな大層なことを…、と思われるかも知れませんが、何も構える必要はあり  ません。お腹の中の赤ちゃんに、育ちゆく生命を感じながら、妊婦さんがどう  過ごせばいいのかに気付き、実行していくことが大切なのです。ボディートークの見地から、いくつかの工夫を御紹介しましょう。

●上手に転びましょう

「妊婦さんは転ばないように、気をつけて!」と、産婦人科では言われます。  流産の危険性があるからです。似たようなことは高齢者の転倒防止でも言われ
ます口 骨折したり、寝たきりにならないための予防策です 。しかし、この当たり前に思われる注意に、自然に反する原理が潜んでいるのです。

「転ばないように!」と注意されると、筋肉が硬くなります。そして心は緊張して、動きがギクシャクしてきます。結論を言えば、転倒防止を強調すれば
するほど、人は転びやすくなるのです。大事なことは、上手に転ぶ道をつける ことです。ボディートークの自然体法なら「とろけ寝」の運動です。軽く足を 開き気味に、楽に立って体を左右にユラュラと揺すります。その動きの中で、
膝、腰、背骨、首を緩めて、ゆっくりとしやがみ込んでいって、仰向けに寝転 んでしまいます。まるで美味しいアイスクリームが溶けていくイメージです。

体の固い人や、そういう動きに不安感のある人は、始めはお布団の上でやってください。「トロ、
トロ、 トロ~~」と言いながら。やわらかい声で寝転ぶと、体がリラックスして、息も楽に深くなります。そういう動きを身につけると、道を歩いていて転びそうになっても、自然に心も体もゆったりとしていて、慌てずに対応できるようになるのです。こんな「とろけ寝」なら赤ちゃんも安全ですね。

●食感を磨きましょう

赤ちゃんは何でもかんでも、口へ持ってきて舐めます。この行為は乳首をロ
にふくむ強い本能でもあるのですが、舌で物を確かめる、という思いもあるの です。そういえば動物たちのお母さんは、赤ちゃんをペロペロと舐め回します ね。あれは皮膚を整えて丈夫にする(動きもあり、内臓を揺り動かして流れをスムーズにさせる働きもしているのです。

人間のお母さんは赤ちゃんを舐めませんが、赤ちゃんの舌を共感するためにも、妊娠中は舌の感覚を研ぎ澄ます絶好のチャンスです。食物を口にした時、
味だけではなくて舌ざわりも意識して下さい。そして繊細な食感で料理の工夫 をして下さい。キュウリやトマトも切り方ひとつで美味しくもなり、不味くもなるのです。

食物だけではありません。食器にも舌ざわりが大切
です。赤ちゃんが初めて口にするスプーンやお皿など も、お母さんが舐めてみて、いい感じのものを選んで ください。ちなみに私は、ヨーグルトを食べる時には、陶器の小さなスプーンを使っています。舌ざわりがとても柔らかで、スベスベ
して気持ちがいいのです。このスプーンを見つけた時は本当に嬉しかった。実 は大きな声では言えないのですが、食器を選ぶ時には、お店の人に気付かれな いように、そっと唇に当ててみます。

妊婦さんが食感を磨くと、更にいいことがあります。食べすぎを防ぐことが
できるのです。御存知のように、お腹の中に赤ちゃんが宿りますと、母体はその分の栄養を要求されますから、ついつい食べ過ぎるのです。この時、食感を磨くトレーニングをするだけで、一口一口ていねいに食べますから、食事に時
間をかけることにもなり、唾液も十分に出て、少食でも満腹感が早くやってく るのです。そしてゆっくりの食事は、赤ちゃんを育てる時にも、赤ちゃんのペースにお付き合いできるようになるのです。

妊婦さんのための、心や体・生活の仕方の個人レッスンを受け付けています。