ボディートークコラム

お母さんって いい匂い

image_print

赤ちゃんは、子宮という安全で安心な世界で10ヶ月を過ごして成長していきます。そして分娩が始まり、狭い産道を通過して外界へ出てきた瞬間「オギャア」という産声をあげて、肺呼吸を始めます。

理想的な自然体分娩で誕生しますと、鼻の中の羊水も排出してしまいますので、子宮の羊水の中では働くことのなかった嗅覚が、産声とともに働き始めるのです。

赤ちゃんは豊かな五感を使いながら、新しい環境の中で懸命に生きていきますが、視覚がまだ十分に機能していない新生児にとって、特に嗅覚は自分を守るための大切な感覚となります。

生まれたばかりの赤ちゃんを、ヘソの緒をつけたままお母さんのおなかの上に乗せますと、しばらくモゾモゾしていますが、やがてお母さんの乳首にたどりつき、自ら吸い付きます。その間、ほぼ20~30分です。

赤ちゃんは未だ目は見えていませんから、専らニオイだけを頼りに進みます。お母さんの乳輪からは、特有のフェロモンが出て、赤ちゃんの案内役を務めます。

このような赤ちゃんの大切な嗅覚を守るために、赤ちゃんの部屋は、なるべく強い刺激のニオイを少なくしなければなりません。お化粧や香水はもちろん、お祝いでお花をプレゼントする時も、できるだけ優しいニオイのものを心がけましょう。

産着やオシメの洗濯も香料の少ない洗剤に工夫してみて下さい。お母さんのニオイにたっぷりと包まれていると、赤ちゃんはホッと安心をして、落ち着くことが出来るのです。ですから、お母さんのニオイを消してしまうアロマなどの刺激は、おすすめできません。

冷暖房で運ばれてくる風ではなく、ゆるやかで、さわやかな自然の風も、赤ちゃんの免疫力を高めていくことでしょう。

夜泣きが激しくて、いろいろあやしてみるものの、原因がよく分らないとおっしゃるお母さんの悩みを耳にします。一因にニオイのことがあるかもしれません。

赤ちゃんを、一人でベッドで寝かせて居ませんか?できるだけお母さんのニオイを感じる距離においてあげて下さい。お母さんのそばで、優しいニオイに包まれて、赤ちゃんは安らかに眠ることができます。おんぶや抱っこも同じです。お母さんの肌に密着できる絶好のチャンスなのですから。

鋭い嗅覚は、生命を守るための本能で、赤ちゃんの専売特許ではありません。子供にも大人にも大切な能力です。

それなのに最近、食物が腐っているかどうか、判断できない子供が圧倒的に増えています。「このお豆腐、腐ってない?」と聞かれて「自分で匂ったらわかるでしょっ」と答えると、「分からん、でも賞味期限過ぎてるよ」ですって!!

野生の動物にとって嗅覚を失うことは、自分の身が危険にさらされることに直結しています。本来は、人間も体に毒となるニオイは不快と感じていたはずなのに・・。

妊娠中は、五感が繊細に敏感になっていきます。この10ヶ月は神様が下さった『動物としての生命の感覚を、もう一度取り戻すことができる祝福の期間』なのかも知れません。

もう一度赤ちゃんと同じような感覚レベルになって、自分を包む環境を新鮮に感じられるなんて、とても素敵だと思いませんか?妊娠期をこのような視点に立って過ごすことで、自分の身にとって安全か否かを嗅ぎ分けることのできる能力がグングン高まっていきます。

更にボディートークと「体ほぐし」や「自然体運動」でマメに体に向き合うと、五感が研ぎ澄まされ、第六感も鋭くなっていきますから、子育てにも産後ケアにも大いに役立つことでしょう。

関連記事

コメント

    • mizukoshi
    • 2020年 6月 04日

    お母さんも赤ちゃんのにおいで癒されますよね。嗅覚って知らず知らずに働かせているんですね

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

PAGE TOP