ボディートークコラム

青い鳥はいつもあなたの中に

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♪ うさぎ うさぎ  何見てはねる   十五夜 お月さま見て  は~ねる♪

<踊ることが大好き>

月の光に照らされ、嬉しくなってはねる、 うさぎさんたちの姿。 微笑ましいですね 。このうさぎさんのように、私たちも美しい自然を前にすると、思わず歌いたくな ったり、踊りたくなってきませんか?

ところで、もし「あなたの寿命があとわずかと分かったら、何をしますか?」と問われたら、私は「朝から晩まで踊り続けたい!」 と、迷わず答えることでしょう。 それほど私にとって「踊ること」は大きな意味を持っています。

< 自分の生命を守る内なる体の声>

私がバレエを始めたのは3才の時でした。 内息だった私は、いつの間にか自分の悲しみや怒りの感情を外に出さず、踊りの中で表現しながら自己解決していくような子どもに成長していました。

しかし、ボディートークに出会う前の20代、大学を卒業した頃、色々な悩みが重なり、 生きている実感が日々乏しくなり、 魂が抜けたようになった姿で教壇に立っていました。

その頃のわたしは、まだ陽の昇らない明け方に起きて、始発の電車で勤務先の福岡女子短大へ向かうようになっていました。 大宰府の丘の上に立つ短大の坂を登り、誰一人いない薄暗い体育館のサブコートの鏡の前で、 レオタード姿でバレエの 基礎レッスンを始めたのです。雪降りつもる凍えるような寒い冬の日も欠かさず毎日、ひたすらにレッスンを続けました。

(もちろん暖房はありません) 手や足の指先まで、全身の隅々まで繊細に神経を行き届かせながら、ゆっくりゆっくりと自分の体を感じながらのレッスンです。 す
ると自分の体全体が空気のように感じられてきて、周囲の気体との境目が取れ、その部屋の空気の一部に自分がなってしまう感覚が生まれてきました。

自分が自然の一部になれている心地よさは不思議な感覚でした。
太陽が昇ってくると、サブコートの窓から差し込んでくる朝の光が部屋いっぱいに拡がっていきます。その光は生命の全てを受け入れ、母親の胎内の羊水のようにあたたかく、やわらかく私を包んでくれました。

するとどこからか「あきこは今ここに生きているよ」 「生きていていいんだよ」 という声が聞こえてくるようになりました。 涙が溢れてきて「そうだ、 私は生きているんだ」という実感が蘇っていくのです。 そんなレッスンを来る日も来る日も続けながら、私はこの時期を乗り越えることができました。

(私は踊りながらボデ ィートークをしていたのですね) そしてこの声こそ、 自分の内にある≪自分の生命を守 る体の声≫だったのです。

● 危機を乗り越えていく生命の力

私たちの生命は進化の過程にストレスがあったからこそ、様々な適応力が膨らみ、これまで生命を繋いで来れたことは皆さんもご存知のところです。 これからは災害や事故、また高齢になっていくなど、 自分の体や心が大きく変化してくことが増えていく時代になろうとしています。

でも私たちの生命の奥には、普段はほとんど使われていない“山”ほどの素晴らしい生きる力が内在しているのです。 それは生命が非常事態になった時にその力を発揮してくれる生命の力です。

今年はリオでのオリンピックの年でもありました。 感動的なシーンがいくつも放映されましたが、私の心に最も残ったのは、パラリンピックに出場したある選手の言葉 でした。 「足を失ったからこそ、私の隠されていた素晴らしい力を発揮するチャン スを得ることができたのだ」 「失ってはいない、 得たのだ」 と。 この選手の目は、どの金メダルよりもキラキラと輝いているように私は感じられました。

● いつもいつも、 あなたの内に青い鳥はいるよ

≪ボディートークとは体のおしゃべり≫です。 あなたはどんなおしゃべりをしていますか? 自分の生命の終わる、その最後の日まで、こよなく自分の生命をあたたかくやさしい息で包み、 「よく頑張ったね」 「えらかったね」 「よく生きてきたね」 と声をかけてあげて下さい、 すると、自分の内なる青い鳥の幸せの声が、どこから かきっと聞こえてくる、 と思いますよ。

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