ボディートークコラム

対人緊張が強い人の体はどんな体?

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腕の付け根と胸の間をウムネという
夜道を歩いていて、向こうから怪しげな人がやって来る。このとき、体のどの部分が固くなるか ? また、人 前で話をするとき、体のなかで緊張する部分はどこか?
答えは、腕の付け根と胸の間の一点である。私が師事 していた野口体操の野口三千三氏は、このポイントを 「ウムネ」と呼んでいる。ウデとムネの中間という意味 だ。

あなたのウムネは固いか柔らかいか、調べてみよう。 まず軽く握りコブシを作って、ウムネに当てる。次に「アー」と言いながら強めにコリコリとこすってみる。痛みを感じる人は対人緊張の強い人、柔らかくてよく揺れる人は、 甘え上手な 人。ウムネは人に対する関係を如実に表す所である。

典型的な例を述べよう。プラットホームなどで中 学生や高校生の女の子が、友達と別れる場面。「バイバ イ」と言って手を振るその振り方に特徴がある。腕を脇に固くくっつけて、胸の前 で手の平を小きざみに振っている。あの仕草はウムネしこりから来る。

思春期の少女は、自分が他人からどう見られるかということに特別に敏感である。 自我に目覚める時期で、自分という存在が気になって仕方がない。それで人なかで 何か行動を起こすとなると、とたんにウムネが固くなる。プラットホームでサヨナ ラの動作をしようとすると、ウムネが固くなるから腕が上がらない。それで胸元で 手を振ることになる。

そんな少女も年を経てくると、人前でも腕を上げて堂々と手を振るようになる。脇の緊張などふっ飛んでいる。ただし中年といえども不倫の相手など に手を振る場合は、人目を気にしてウムネしこりのサヨナラをしているが・・・。

ツッパリ少年も実はウムネしこりなのである。これらの少年は、自分はこうした いという強い欲求を持っている。しかし、その欲求を言葉でうまく表現できない。

どうせ大人は反対するだろう。こういうときにウムネが固くなる。
ツッパリ少年は、ウムネをギュッと固くしているから、腕の付け根が動きにくい。 それでポケットに手をつっこむ。ポケットに手を入れ、頭を垂れて歩けば「落ち 込みスタイル」なのだが、どっこいツッパリ少年はエネルギーを内在させている。そこ でアゴをしゃくって強気なところを表現してみせる。

アゴを張るのは我を張ることだ。ツッパリ姿勢の仕上げは、膝の関節を硬直させること。つまり、膝に棒を入れた ように固く立つ。膝につっかい棒を入れることを私は「ヒザッパリ」と名づけてい るが、「ヒザッパリ」は「意地っぱり」なのだ。

あなたも、ツッパリスタイルを体感してみよう。

①ウムネを固くする ②ポケットに手をつっこむ ③アグをしゃくる ④膝にツッパリを入れる
これで完成だ。ちょっと歩いてみよう。出会った 人に思わず挑戦的になる自分に気づくはずだ。

「フ ン!」と言ってソッポを向いたり、「おう、ナン ダ? 文句あっか?」と、肩でつっかかる雰囲気に なってしまう。もう、おわかりのように、この姿勢 は息苦しい。すなわち、ツッパリ少年は息を詰めて 生活している。息が苦しいから暴走して、一時の解放感を得ようとするのだ。

ではツッパリ少年と、どのように接すれば良いか。 頭ごなしに怒鳴ってもダメである。ツッパリがますます強くなるだけだ。ボディートークの原則は、心をほぐすことからコミュニケーションの道をつけることにある。

ツッパリをほぐすには、その心が作っている体のしこりをほぐすことが大切だ。ツッパリ少年は ウムネほぐしから始める。互いにウムネがほぐれれば、話しやすくなる。問題解決の糸口は体ほぐしにあるのだ。私がかつて高校の教 師であった頃、ボディートークの体ほぐしで ツッパリ生徒の本音をずい分聞き出したものだ。

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